「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」「風の叉三郎」など、多くの名作を世に出した宮沢賢治。
モモグレでも、朗読やドラマなどで宮沢賢治の物語を皆さまにお届けしてきましたが、その数々の名作を残した宮沢賢治の生涯を、今回はドラマと朗読を融合させた新しい試みのCDでお届けしたいと思います。
――雨ニモマケズ風ニモマケズ
宮沢賢治の有名な詩「雨ニモマケズ」の一節ですが、
宮沢賢治の物語を読んだことがなくても、きっと聞いたことのある詩だと思います。
この詩は宮沢賢治の死後に彼の遺品の手帳から見つかりました。
書いた宮沢賢治はいったいどのような生涯を送ってきたのか。
賢治の生涯を知れば、この詩をもう一度読み直さずにはいられないと思います。
今回、ドラマと朗読を組み合わせる、と言う試みのCDですが、そうはいってもドラマと朗読の融合?とピンとこないかもしれません。本作は宮沢賢治の生涯を追うドラマの合間に、彼の生涯に欠かせない物語や詩の朗読を混ぜて物語を構成しています。
収録は、まず朗読の部分から始まりました。
宮沢賢治役の石田さんは、モモグレの朗読CD(「宮沢賢治名作選集」など)にも参加していただいておりますが、今回はドラマの中の朗読、ということで、その時々の感情を込めた朗読にしていただきました。
詩や物語は石田さんの解釈によって、また物語内で起きる事柄によってさらに心に響く朗読になりました。
作品内に出てくる詩も物語もどれも有名ですが、その詩や物語ができたきっかけや想起する出来事を追って聞くと、賢治の切実な気持ちが伝わってくるようです。
「永訣の朝」という詩で繰り返す「あめゆじゅとてちてけんじゃ」というフレーズは「雨雪とってきてください」という意味です。何度も繰り返されるこのフレーズを石田さんが切なく、悲しく詠んでくださっています。あまり、耳馴染みのない言葉だと思いますが、賢治の想いと共に一度聴いたら忘れられなくなると思います。
今回、賢治の妹のトシと小作農の娘であるタエは桑島さんに演じていただきました。
トシと賢治の兄妹の絆の深さや、「永訣の朝」に込められた賢治のトシへの想いが2人の会話からヒシヒシと感じられます。
また、冒頭の賢治・トシ・タエの3人で会話をしているシーンでは、桑島さんには一気に収録していただきました。マイク前には二人しかいないのに3人で会話しているようでした。
16歳と7歳を見事に演じ分けた桑島さんのミラクルに、モモグレスタッフは目を見張りました!素直に凄い!と驚くばかりです。
また、後半タエは少々大人っぽくなったものの、トシの影をまったく見せず本当に別人で演じてくださいました。2人とも賢治を心から想う、賢治の生涯になくてはならない女性です。
タエの父親である五郎を演じてくださったのは鳥海さん。
五郎は40〜59歳という年齢で、賢治に冷たく当たる小作農の親父です。
鳥海さんも50代の男性を演じるのは初めて、と言ってましたが日々を生きるのに必死な少し卑屈な頑固おやじになりました。
また、弟の清六役の岸尾さん。賢治を否定する人々に文句を言ったり賢治を慕っている雰囲気がひしひしと感じます。
賢治を励まし、支えようとするけなげな弟を演じてくださった岸尾さん。本当に、いい弟です…!
賢治の父親役の政次郎は津田さんに演じていただきました。
厳しい父親ですが、言っていることは正論ではあると思います。
賢治は反発していましたが、父が賢治のことを想っていないはずはないと思います。またそういった否定も賢治には必要だったのではないでしょうか。津田さんの演じる政次郎の、賢治にかける言葉の一つ一つから親の厳しさや温かさ、また時代の厳しさを読み取っていただけるのではないでしょうか。
酒飲みの農民のガヤではディレクターさんから
「みんなお得意でしょうけど^^」と一言が。
実際演じてみて…案の定「みんなさすがに上手いね!」とお褒めの言葉が。
そんな農民のシーンも聞いてくださいね!
宮沢賢治の生涯は、たくさんの童話に詰まっていることを改めて感じさせてくれました。
「銀河鉄道の夜」や「風の叉三郎」など、モモグレでドラマでお届けした作品も
抜粋ではありますが石田さんの朗読が聞けますよ!ドラマとはまた違った雰囲気でお届けします。
宮沢賢治のたくさんの名作にまた出会える素敵なCDになりそうな予感です。