09年4月の「座布団」発売から、たくさんのリクエストメールにより「花扇」のCD化が決まりました!
前作「座布団」は山口さん演じる要と神谷さん演じる寒也の話がメインでしたが、今回「花扇」は三木さん演じる要の師匠、初助の話です。
まず最初に、下村役の緒方さんの収録から。
初助の母の元恋人?で、若かりし初助に援助をしながらも屈辱の行為を強いる大物の役です。
重鎮な雰囲気といやらしさを感じさせる役作りでテストは一発OK!
剛先生から「贅沢なCDだなぁ」とつぶやきが聞こえたり…。卑下たような笑いや冷笑、小馬鹿にしたような笑い、笑いのパターンが豊富で、なおかつ全てにいやらしい初老の雰囲気がにじみ出ています。
「昭和の怪物」という異名を持つ下村は、緒方さんによってその名に相応しい威厳がよりプラスされたと思います。
続いてヤングチームの山口さんと神谷さんの収録でした。
先生からの挨拶の後、前作を少し聞いていただき、40代という年齢感の確認をしていただこうとしたら山口さんが「(前作CD「座布団」が)おれ、iPodに入ってるもん(笑)」と。神谷さんも「一緒〜(笑)」と力強いお言葉を。フリートークでもおっしゃっておりましたが、本当にうれしい限りです。
その後、テストでも問題なく進み早速本番の収録になりました。
要役の山口さんは、若い頃の回想に現在のモノローグの乗せる場面で、年齢が違うのでバラバラで撮りますか?という提案に「一緒で大丈夫です!」と力強くおっしゃって下さり、ばっちり年齢感を分けて演じて下さいました。
また、寺田に対しての台詞やモノローグで、台本には「あの男」と書いてあるのに対し「寺田に対して印象は悪くないはずだから"あの男"よりか"あの人"の方がいいのでは?」とご提案いただいたりもしました。要のことをよくわかってらっしゃる!頼もしい限りです。
寒也役の神谷さんも台詞の被せ方などに対して検討している際に、「要にはかなり気を使ってますが、一色には気を使ってないんですよ」と寒也としての台詞回しの説明をしてくださったりと、役に対して真摯に向かい合って演技をしてくださいました。それを受けて「寒ちゃんやさし〜(涙)」と感激する山口さんの姿も。
お二人は隣同士のマイクを使用しておりましたが、最初の屋台で注文する際に寒也が「要、他に何か頼むか?」というシーンでは、神谷さんは山口さんを振り返り声をかけたり、「寒ちゃん」「要」と呼びかける際にはチラリと互いのことを見て、語りかけるようにしてくださったり、要と寒也の長年連れ添った良い距離感を出して下さいました。お二人のやりとりはテンポもよく、要と寒也が長年積み重ねてきた絆が垣間見えるようでした。
一番最後のお化けを怖がるシーンでは、見事に息の合ったアドリブで思わず笑いが零れてしまいます。
続いて落語部分を抜粋して撮りました。
今回は、寒也は落語のシーンはないため、山口さんと落語家さん、ブース内で1対1の御指導をいただきました。まず落語の内容の説明と手本として実際にやっていただき、それを山口さんが繰り返して演じていきました。前作もあったので、若干慣れた?と思いきや内心ドッキドキだったようです。落語は「間」が大事だ、ということですが、うまい具合に間がハマり落語家さんが「すごいな、いいなぁ」と褒めておりました。
後でお聞きしたのですが、山口さんは「落語入門」の本を買われてお勉強なさっていたそうです!鞄からチラリと見せていただき「こうゆうの読むともっと面白くなりますよ」と勉強熱心な一面を見せていただきました。
次にアダルトチームの収録です。
今回初登場の初助の想い人・寺田は黒田さんにお願い致しました。
寺田は寡黙で男気あふれるヤクザの代貸です。下村の依頼で初助を痛めつけるために呼び出され初助と出逢います。入れ墨の入ったやくざの代貸は、一見すると怖そうではありますが心根は優しい男です。テストでは少々悪人っぽくなりすぎたのでもう少し抑えていただくようお願いたしました。初助と逢うたびに優しさが増していく、という態度の変化を相談しつつも作っていきました。
シリーズ二作目となり制作側も思い入れが強くなかなか定まらないプランに討論しつつ「寺田銀治郎」という男を作っていきました。その結果、優しさと強さを持つ素晴らしい寺田を演じていただくことができたと思います!
また、少年初助役の小田久史さんが「寿限無」をうたうシーンで、練習のためブースで何度も繰り返していたら黒田さんも覚えて下さったらしく、収録が終わった後、ブースの外で小田さんと一緒にうたっておりました。覚えるのが早い!低いいい声での寿限無でした^^
主役の初助演じる三木さんは、今回は台詞量も多く落語・都都逸と盛りだくさんでした。
テストをして役のイメージを思い出していただき、収録がスタートしました。
物語は現在の時間軸(初助死後)から始まり、過去に遡っていき、現在に帰ってくる構成なので、初助の最初の登場は"寺田と一緒に過ごしている"シーンになります。キャラ的にどこまで「恋に浮かれた男」にするか、を悩まれてましたが、キャラクターも崩れず優しげな柔らかい喋りで"寺田がいる幸せ”を言外に表現して下さいました。
遡り、少年時代の過去を語るモノローグでは淡々と、しかしそこにある感情がわずかに見えてくるように演じて下さりました。母の最期を語るモノローグは淡々としているのが、逆にそこにある負の感情を喚起させるようで恐ろしく感じます。
寺田との出会いから共に過ごすまで、初助の感情の動きが三木さんの丁寧な演技で表現されてます。また、寺田をかくまることになるシーンでは「こんな状況ですが嬉しさを前面に出していいのですか?…あ、でも肩抱かれてるし嬉しいのか…」と初助の感情の動きについて真剣に考えてくださり、納得された後はあから様にテンションを上げて喜ぶでもなく、不謹慎ながら零れ出てしまう喜びの演技を台詞に乗せて下さいました。
前作の初助から想像も出来ないような、男らしくもあり女のようである恋をし、真の愛を謳い涙するシーンでは、思わずもらい泣きしそうになりました。
今回も物語に落語は重要なカギとなって絡んでいます。
ブース内で落語家の先生と三木さん1対1で収録に挑みました。山口さんの時と同じように、まずお手本を聞かせていただき直後に三木さんが繰り返す、という形でとらせていただきました。男性、女性と一人何役もこなし話を進めていく落語では「声色じゃなくて雰囲気で演じる」というご説明をいただきました。三木さんも「そうなんだよ!こないだそれ聞いてびっくりしたんだよ」とおっしゃっておりましたが、やはり普段三木さんがやってらっしゃる演技とは違ったところですので、少々苦戦もされていましたが、どんどんこなしていきました。落語家さんにご指導いただき、もっとこうしたほうがいいです、と言われるとすぐに対応し「もう一度聴かせて下さい」と手本を耳で聞いて覚えてました。
「文違い」という演目では、東北訛りの言い回しなのですが、手本を聞いて直していくとまったく違和感なく聴けます。東北系の訛りもすぐさまマスターし、落語家さんも「覚えるのが早い」と褒めていらっしゃいました。
また、今回も落語を聴かせたい!作品の雰囲気をなくしたくない!ということで、CD1枚ギリギリまで本編をつめました!初回版の特典CDにキャストトークとフリートークを入れさせていただきました。
フリートークでは、日本の文化についてや師匠について語っていただきました。三木さんの自己紹介は"師匠"らしさ?を出していただいたり、山口さんは「師匠」について熱い思いを話してくださったりと盛り沢山なCDになりました!
是非、ご予約はお早めに!