3月某日、都内スタジオで「風の又三郎」の収録が行われました。
「風の又三郎」は宮沢賢治の数ある名作の一つです。
210日の風に乗ってやってきて、220日の風に乗って去っていく。
そんな伝説の風の又三郎と思わしき、高田三郎が転校してくるところから物語が始まります。
田舎の小さな学校が舞台の物語ですので、12歳以下の小学生役の皆様には、声のトーンを高めに子供らしさを出していただきました。
また、東北の訛りを意識して演じていただき、東北出身の方々に確認をしたりと、
途中で出演者の方から訂正が入ったりとみな様熱心に読み込んでくださいました。
学校内や、子供たちが多くいる場面のガヤすらも、もっと子供らしくもっと田舎くさく、と
指示を出され皆様にはどこからどう見ても田舎の子供を演じていただきました。
そして、子供役は女性が多い中でもメインの男性陣の方々は負けじと小学生を演じていただきました。
一郎役の鈴木千尋さんは出身が山形県ということもあり、東北訛りが完璧で違和感なくお兄ちゃん的ポジションの一郎を演じていただきました。
嘉介役の保志総一朗さんは、三郎を「風の又三郎」だと指摘し得意げになる無邪気なキャラクターをかわいく演じていただきました。
佐太郎役の宮田幸季さんは、横浜出身とおっしゃっておりましたが方言がお上手でガヤの中でする兄妹喧嘩では、
子供らしく酷いお兄ちゃんのアドリブをいただきました。
三郎役の石田彰さんは、ナレーションと兼ね役で演じて下さいました。
小学校の子供たちにとって、不思議な存在の三郎をかわいらしく演じていただきました。
ナレーションと同時進行で撮ったので、ナレーションと三郎のセリフが続いた際の演じ分けは同じ方が喋っているとは思えないような切り替えです。
物語は、子供たちの日常の風景に、「風の又三郎」じゃないかと噂される三郎が入ってゆき仲良くなっていることで進んでゆきます。
子供たちが遊んでいる遊びや歌は皆さんは知っているものはあるでしょうか?
さよなら三角、またきて四角〜で始まる「しりとりの歌」を無邪気の歌いながら歩くさまや
馬で遊んだり水遊びをしたり、本当に子供たちが楽しんでいるようなはしゃぐ声に、聞いているだけでほっこりと和んでしまいます。
最初は敬遠していた子供たちも、どんどん三郎になじんでゆきます。
三郎も最初は浮いていただけだけど、だんだんと仲間に加わり木の上からからかう様など石田さんは無邪気にかわいらしく演じていただきました。
「風なんていらない!」と言い張る耕助に理由を問い詰め「それからそれから?」と畳みかけるように質問する三郎は
最初のころの異質さもなく楽しく遊ぶ子供の一人でした。
それでもふとした瞬間、三郎が不思議な子に見える瞬間がたびたびあります。
三郎は、本当に噂の風の又三郎なのでしょうか…?
さて、今回の作品は数か所歌が出てきます。
上記の「しりとりの歌」もそうですが、物語内でも音楽の授業で歌を歌っています。
子供らしく自由に歌っていただきました。
三郎をピックアップしたい、とのことで石田さんにはソロでも歌っていただきました。
よーく聴くと三郎の子供らしい歌声が際立っています。
石田さんにも見事に三郎らしく歌い上げていただきました。
また「風の又三郎」の原作をお読みになったことがある方は知っていると思いますが。
作中に幻想的な詩が出てきます。
どっどど どどうど どどうど どどう 青いくるみも吹きとばせ
すっぱいかりんもふきとばせ どっどど どどうど どどうど どどう
今回はこの詩にオリジナルで曲を付けテーマソングとして作中で流れます。
とても奇麗な音色で、覚えやすく、なかなか頭から離れません。
それは、もちろん出演者のみなさまに歌っていただきました!
ここでも石田さんにはソロで歌っていただいておりますが、
出演者様全員で歌ったのとは、若干変わったバージョンを歌っていただいてます。
音楽の授業の時とはまた違った不思議なイメージです。
それらが、物語内でどう使われているかはぜひ聞いてお確かめください!
三郎という謎の人物をめぐる物語ではありますが、それと同時に、懐かしさを感じる瞬間が
たびたびに出てくる作品になっております。
川を汚す大人を追い払うシーンでは韻を踏んだような言葉を繰り返し追い払うシーンがあります。
誰が作曲したか分らない♪あーらーらこーららー、という泣かしたものを責める歌などは
皆様も小さいころに歌われたのではないでしょうか?
そういった日常だったような風景に異質の三郎がどういった感じで絡んでくるのか。
聞きどころだと思います!
幻想的で、少し不思議な物語を、どうぞ堪能して下さい!