モモグレメンズオンリーシリーズ第二弾は「真夏の夜の夢」です。
シェイクスピアの喜劇「真夏の夜の夢」は、4人の男女が妖精パックのいたずらで滅茶苦茶になってしまう、
夏の一晩の出来事を描いた作品です。今回は、これを男性のみのキャスティングで演じていただきました!
シェイクスピアの時代は、舞台に女性は上がれなかったので、実際にリアルタイムで「真夏の夜の夢」が演じられていたころは、本CDのように全員男性だったそうです。つまりは、これぞ真の姿!ということでしょうか。
物語は諏訪部さんのナレーションからスタートします。
諏訪部さんには、ナレーションとハーミアの父親イジアスを二役やっていただきました。
柔らかなナレーションと厳格な父親であるイジアスを見事に演じ分けて下さいました。
ガラッと変わる声色は流石です!
しかし、途中で二役が混ざってしまうNGも…。
ですが、それ以外はNGも特になく、物語を進めていく上で重要なナレーションを丁寧に演じて下さいました。
国王シーシアスと結婚間近のヒポリタのカップルは、森川さんと小西さんに演じていただきました。
この二人は順風満帆な甘い雰囲気を醸し出して下さってます。
森川さんは威厳のある王様を、小西さんは色気のあるヒポリタを。
キャスティングの際にお名前を挙げさせていただきながらも小西さんがどういった「女性」を演じて下さるのかまったく予想がつかなかったので、ワクワクしておりました。が、いや、正直、驚きました…!
ヒポリタが恥じらうシーンなどは小西さんの女性演技がキラッ☆と光る瞬間です。
森川さんの大らかな人の好い王様とのバランスもよく、インパクト大な素晴らしいカップルでした。
諏訪部さん演じるイジアスの娘、ハーミア役は櫻井さんです。
テストの後不安げに「こんな感じで大丈夫でしょうか?」と確認をされておりましたが、なんとも可憐な美少女でした!直前までドキドキしていたらしい櫻井さんは、「女性」という演技プランに悩まれたそうですが、そんな不安は感じさせないくらい見事なまでに女性を演じて下さいました。「月光仮面ビギンズ サタンの爪」では、オカマ役を演じていただきましたが、今回は正真正銘の美少女ですよ♪
ライサンダーとデミトリアスはハーミアに想いを寄せる男性です。
羽多野さんと前野さんがしっかり好青年に演じて下さいました。
ハーミアを褒めたたえるお二人の台詞は、現代の口説き文句ではそうそう聞かない言い回しをしております。
お二人にはシェイクスピアの、詩のような台詞を甘〜い声で囁いて下さいました。
しかし、羽多野さん演じるライサンダーがうって変わって恋人であるハーミアを罵るシーンでは
これまた変わった罵倒を叫んで下さいます。
「ちぃぃっ!」と力いっぱい舌打ちをするライサンダーにときめきを隠せません。
デミトリアスを演じる前野さんは、ヘレナに冷たくした分ハーミアに冷たくされます。
追いかけるハーミアには優しく、追ってくるヘレナには冷たく突き放すという二通りの女性への対応のギャップをお楽しみください。
そして、野島健児さんに演じていただいたのはデミトリアスにぞっこーん☆なヘレナです。
ヘレナはネガティブで卑屈な女性ですが、自己陶酔型の女性なので自分に酔った長台詞が多く、
感情の起伏が一番激しいので、大泣きしたり怒ったりと大変な役でした。
ですが、野島さんが全国のネガティブ女子を代表するかのように見事なまでに「ヘレナ」を演じて下さいました!
特にハーミアとヘレナが口論するシーンでは、お二人とも迫力満点の争いをしてくださってます。
しかし、真剣な喧嘩の場面ですが、「真夏の夜の夢」は喜劇です。
よくよく台詞を聞くと思わず吹き出してしまう言い合いだったりします。
女同士の取っ組み合いの喧嘩も女性演技が崩れることなく迫力満点の喧嘩になりました。
さて、物語は森の中で妖精を巻き込んで進展していきます。
今回物語の要である、いたずら好きの妖精パックを、下野さんに演じていただきました。
パックを演じてみたかった、とおっしゃっていた下野さん。
収録後「パックはあんな感じでよかったですか?」と不安げに言っておりましたが、とても可愛らしい少年風のいたずらパックでした!口上や詩のような台詞が多いので、楽しそうに演じられておりました。
また、妖精王のオーベロンは大川さんに。
森川さんの王とはまた違った雰囲気の「妖精王」を演じていただきました。
マントを翻して人間を見下ろす妖精王の威厳が、音だけでも十二分に感じてきます。
妻のタイターニアへの報復が成功したのを見て大笑いするオーベロンが、本当に愉快そうに笑ってらしたり
ちょっと怖い人なのかな?という印象を受けますが、人間四人の複雑な恋愛関係をまとめてあげたりと優しさの垣間見える妖精王でした。
オーベロンの妻、タイターニア役のタイターニアの高橋さんは、この話をもらった時に前回のメンズオンリー作品
「赤毛のアン」でアン役を演じて下さった代永翼さんに相談したそうです。
代永さんのアドバイスは「ふつうにやって大丈夫だよ!」とのこと。
高橋さんは高慢な女王タイターニアを見事に演じて下さいました。アドバイスがきいたのでしょうか。
収録は、女性役の方々は皆それぞれの役に応じた「女性」を演じて下さり、男性ということを忘れてしまいそうなほどです。
けれど「OK」が出ると野太い咳払いが聞こえてくるのでああ、男性だった、と我に帰るということが何度もありました。
「男性のみのシェイクスピア」という話で、最初はどうなるかと思っていただろう出演者の皆様も「面白いものができた!」と思ってくださったと思います。そう信じています!
また、セリフ回しが独特なのも相まって、皆様の演技がふつうのドラマCDと違って聞こえます。
大川さんがフリートークで「マイクの前だということを忘れそうだった」とおっしゃってますが、やはりなんとく舞台で演じているような雰囲気がします。音響の方でも、舞台を意識して音を入れていただきました。
目を閉じて聞くと上手から下手へ、下手から上手へ、と踊るように芝居をする情景が浮かんでくるようです。
そして、本作は喜劇ですので、笑う所はたくさんあります!
劇中の皆様、もちろん真剣なのだけど、よく考えるとツッコミを入れたくなる個所があったりなかったり。
是非、何回でも聴いて下さいね!
巻末のキャストコメントでは、女性役の方が不安に思っていたことやシェイクスピアについて語ってくださってます。
皆様楽しんで演じていただけたようなので、本当によかったです。
初回封入特典は、フリートークCDです。
羽多野さん、櫻井さん、前野さん、野島さん、下野さんにお話を頂きました。
フリートークは羽多野さんに回していただきました。
始まった途端櫻井さんと野島さん声が出なくなるという視覚的なオープニングでしたが
子供の頃にやった可愛いいたずらや初恋についてなどお話いただきました。
野島さんのいたずらが「可愛い」の範疇を超えているのではないかと…。
また、物に一目惚れはする人が多いようですが、中には過去に一目惚れした女性がいるという方も…。
↑この絵の正体は・・・?
残念ながらジャケットに掲載が出来なかったので此方で公開させていただきます!
特典フリートークを聴いていただいた方はお分かりでしょうが、そうです。あの時のイラストです!
快く掲載承諾してくださった羽多野さん、ありがとうございます!
内容盛りだくさんの「真夏の夜の夢」です。
この夢物語を貴方の耳でご堪能あれ!